人間の原点に根ざした 自由で自在な表現を磨く
彫刻は、地球を構成する石・木・土・金属といった基本的な物質や人類が自ら作り出した様々な素材を扱う触覚的な表現分野です。旧石器時代より、彫刻は常に人類の歴史とともにあります。一方で、私たちの生きる21世紀は効率の優先がさらに加速し、その象徴ともいえるAIの誕生などにより人間の在り方そのものが問われる時代です。しかし、どのような時代であっても人類がその歴史とともに培ってきた触覚的な造形世界が失われることはありません。
彫刻専攻では、様々な素材の特性を知りそれらを扱う技術を習得し、想像力、構想力、造形力、空間構成力を養います。特定の表現様式に縛られることなく人間の原点に根ざした自由自在な表現力と豊かな個性を磨いていきます。
また、2024 年度から新専攻棟 に移り、新しいカリキュラムがスタートします。詳細についてはこちら
カリキュラムCurriculum
造形力と想像力を養い、独自の表現へ
多様化する現代社会での立体表現に重点を置きながら、将来のアーティストや研究者、芸術教育等の専門家の育成を目指します。彫刻表現の基礎として1,2年次に塑造、金属、木彫、インスタレーション、石彫、テラコッタ、材料研究(乾漆や樹脂など)の授業を行います。3年次には、各教員のゼミ毎に授業を行い、個々の専門性を高めつつより広範な表現に展開する力を養い、4年次にはそれまでの創作研究の成果を卒業制作に結実できるよう指導します。国内外で活躍している作家や評論家等によるレクチャーを行い、新しい表現を生み出す創造力と、社会との関わりを実践するための多面的・多角的な理解力を育みます。

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1年次 彫刻実技Ⅰ
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塑造Ⅰ
2分の1等身の塑像を造ることを通し、観察することの重要性を学びます。完成後には石膏取り技法を習得します。
金属
金属加工に必要な機械や道具の扱い方を学び、自由制作を通して彫刻の基本的な概念および技術を学びます。
木彫
木彫に必要とされる基本的な道具の扱い及びカービング技術について学びます。
樹脂
成型から塗装にいたる一連の工程を体験しながら、水性樹脂(ジェスモナイト)を用いる技法・技術に触れます。
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2年次 彫刻実技Ⅱ
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塑造Ⅱ
各自のテーマに基づき、等身大の人体塑造による表現方法の研究を行います。
石彫
石彫の実技を通して、石彫造形について考えるとともに、石彫に関わる基礎技術を学びます。
造形
「不連続なイメージによる1日1作品」では自分あるいは自分の表現と出会うための実験として数週間連続して毎日1点作品を制作します。
テラコッタ
各自のテーマに基づいた制作を通してテラコッタの基本的な技法を学び、土による表現の可能性を探ります。
材料研究
日本古来から伝わる漆を使った乾漆彫刻の素材と技術を学びます。
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3年次 彫刻実技Ⅲ
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彫刻ゼミⅠ/Ⅱ
学生は各教員がテーマを定めたゼミの中から前期と後期でそれぞれ1つを選択し、各ゼミのテーマに沿った制作・研究を進めます。担当教員と対話をしながら個々の可能性を探り、4年次に向けた作品制作の主な方向性を見極めます。
他専攻科目
版画の授業を履修することで、様々な表現方法を身につけます。版の特性を理解し版画制作の基礎を習得します。
古美術研究旅行
京都や奈良の神社仏閣を訪ね、講義や観察を通して鎌倉期までの日本の立体造形について学びます。
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4年次 彫刻実技Ⅳ
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創作Ⅰ
個人面談や講評会を重ね、卒業制作に向けて各自の作品制作の方向性を見定めながら、研究に取り組みます。
創作Ⅱ
各自の研究テーマに基づき、集大成となる卒業制作に取り組みます。また、研究報告書の作成や講評会でのプレゼンテーションを通して、制作意図や研究内容を言葉で伝えることの大切さについて学びます。
卒業制作
卒業制作提出後の口頭試問では、作品を前に口頭発表を行います。また学内で行われる卒業制作展では、美術館学芸員や評論家による客観的な見地からの公開講評会が行われます。
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多彩な講師陣による専門講義
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国内外で活躍する芸術家・評論家・学芸員等による特別講義では、様々な分野の専門家から美術について学びます。
近年のゲスト講師陣
飯田 志保子(キュレーター)/青木 野枝(彫刻家)/七搦 綾乃(彫刻家)/はしもと みお(彫刻家)/青木 千絵(漆彫刻家)/国枝 かつら(キュレーター)/鷲田 めるろ(十和田市現代美術館館長)/本濃 研太(彫刻家)/加藤 邦彦(彫刻家)/西川 勝人(アーティスト)/岩崎 貴宏(アーティスト)/西村 公泉(彫刻家)/ギムホンソック(アーティスト)/ 藤原 彩人(彫刻家)/塩田 千春(アーティスト)/西野 達 (アーティスト)/増山 裕之(アーティスト)/森 千花(東京都現代美術館学芸員)/青野 和子(ハラミュージアムアーク館長)/岡部 あおみ(評論家)/児島 やよい(キュレーター)/小山 登美夫(ギャラリスト)/黒河内 卓郎(彫刻の森美術館学芸員)/西村 陽平 (彫刻家)/三木 サチコ(アーティスト)/今井紫緒(3Dモデレーター)/加藤 翼(アーティスト) 他
教員Faculty members
教授
神田 毎実
Tsunemi KANDA
教授
中谷 聡
Satoshi NAKAYA
教授
高橋 伸行
Nobuyuki TAKAHASHI
准教授
竹内 孝和
Takakazu TAKEUCHI
准教授
森北 伸
Shin MORIKITA
准教授
村尾 里奈
Rina MURAO
客員教授
金井 直
Tadashi KANAI
在学生の声Voice of Students
入試情報
Admission Information
彫刻専攻では、総合型選抜、一般選抜を実施しています。学部入試(美術)
卒業後の進路Career path after graduation
学生の多くは、在学中から学内外で様々な作品発表の機会を得て実践的な作家活動の基本を学んでいきます。そして卒業生の多くは、本学で学んだことを基に様々な分野で活躍しています。表現者として国内外での作家活動、留学、教員、保存修復等の道へ進みます。彫刻専攻は学生の個性を尊重し、個々が目指す方向性をともに考えます。
作家活動
彫刻家、美術家、造形作家、漫画家、音楽家 など
教員
愛知県立芸術大学、名古屋造形大学、愛知産業大学、成安造形大学、福岡教育大学、四日市大学、武蔵野美術大学、玉川大学、鳥取大学、新潟大学、長岡造形大学、金沢美術工芸大学、名古屋学芸大学、福井大学、静岡大学、常葉大学、埼玉純真短期大学、大垣女子短期大学、富山ガラス造形研究所、愛知県立旭丘高等学校美術科、岐阜県立加納高等学校美術科、東邦高等学校美術科、その他特別支援学校・中学校・高等学校教員多数
就職
東京国立近代美術館、福井市美術館、愛知県陶磁美術館、愛知県児童総合センター、愛知仏像修復工房、アトリエあい、カリモク、きりん工房、ジャスト、日本美術院、前田商事、松坂屋、ミキモト、矢橋林業、石塚ガラス、柏木工、文教スタヂオ、Landscip、パールマネキン、太陽画廊、日動画廊、冨士ファニチア、角川大映スタジオ、タケナカ、足立ライト工業所、ケイ・ウノ、かすがい市民文化財団、サン樹脂、株式会社マカロニデザイン、株式会社セイオー ダスキン静岡、スパイラル(ワコールアートセンター)、スタジオトラス など
進学/留学
東京藝術大学大学院美術研究科修士課程、ハノーファー美術大学、ベルリン芸術大学、デュッセルドルフ美術大学、国立ウィーン芸術大学、セントラル・セント・マーチンズ(イギリス)、チェンマイ大学(タイ)、フランス政府給費留学、イタリア政府給費留学、ドイツ(DAAD)政府給費留学、文化庁3年派遣(ペルー)、文化庁1年派遣(スペイン)