愛知県立芸術大学

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学長挨拶

第11代学長

戸山 俊樹

Toshiki TOYAMA

略歴

声楽家
香川県坂出市出身。東京藝術大学大学院オペラ科修了。日本音楽コンクール第2位、海外派遣音楽コンクール松下賞、ジュネーヴ国際音楽コンクールブロンズメダル、ジローオペラ賞受賞。1984~88年ドイツハーゲン市立歌劇場専属契約歌手。1990年愛知県立芸術大学音楽学部専任講師、1995年助教授、2003年教授、2009年音楽学部長・大学院音楽研究科長、2013年副学長、2019年第11代学長に就任。

愛知県立芸術大学のキャンパスは、周囲を広大な緑の森に囲まれています。このキャンパス全体の背骨となる講義棟の北壁には、初代学長上野直昭氏の書いた〈直指天〉という文字があります。氏は本学で芸術を学ぶ若者たちにこう呼びかけています。

この山に入るものに、先ず人界を忘れることをすすめる。人間臭を去ることを 求める。仙境の澄んだ空気を吸って、仙人とはなれないにしても、せめて天を 仰ぐことを忘れるな。

キャンパス全体を設計した建築家、吉村順三氏は、本学のどの建物からも、またどの建物を通しても、自然の風景と人の活動を視覚的に遮らぬよう、〈透き通し〉という設計デザインを用いました。そして目線を上げれば、どこからも広く空が見えるよう、敢えて個々の建物の高さを抑えました。

自然には人の心や精神のバランスを整え、癒す力がありますが、それは音楽や美術といった芸術が持つ大きな力の一つでもあります。 芸術は人間の想像力が創り出す自然とも言えるのです。

今、STEM教育(Science、Technology、Engineering、Mathematics)にArtを加えたSTEAM教育の重要性が謳われ始めました。芸術も他の学問同様に自問と自学を繰り返す学問ですが、他の学問と違っていることは、そこに人間の心や情緒、そして身体性が大きく関わることにあります。故に芸術表現に完璧は無く、ここに芸術を学ぶ面白さと奥深さがあるのです。

科学技術の発達は人間社会に利便性をもたらしましたが、その代償として人間にとって大切な何かを失うことの無いよう、私たちは目覚めている必要があるのではないでしょうか。事象や対象を様々な角度から観察し、思考し、新たな気づきや問題を投げかけること。これも社会における芸術の大切な役割と考えます。

"森の中の芸術大学" ―― 愛知県立芸術大学は、芸術を志す若者達が、熱く静かに、心と身体をもって、本質的、普遍的なるものを感じ学ぶことのできる、そんな大学であり続けたいと考えます。

令和5年4月1日

学長 戸山 俊樹