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卒業生インタビュー(2回目)-日本画

芝 康弘さん 1996年 日本画専攻修了

「テクニックもモチーフも、いろんな形で習得しました」

愛知県立芸術大学へ進学し、1996年に大学院日本画専攻を修了した芝康弘さん。30歳で院展に入選するまで、いろいろな形で日本画に向き合ってきました。今回は芝さんの20代から30代にかけての活動を振り返ります。

jpaint-interview-02-01インタビュー中にたくさんのスケッチを見せてくださる芝さん

・・・大学院を卒業して、院展にすぐ出品されたのですか?

芝「院展は審査があり、入選しないと絵は飾られません。僕は大学院2年生くらいから、毎年春と秋の院展に応募していました。初入選したのが30歳、日本画家としては遅咲きです。落選し続けるとへこみますよね。でも僕の場合、院展に応募することと同時期に、半立体のレリーフ作品をつくっていました。石膏でつくった支持体に、鳥などを石膏で型取りしたものを組み合わせ、それに岩絵具などで彩色をした、重さ50kgくらいのレリーフです。東京と名古屋の美術館が運営するギャラリーを借りて、東京の美術大学に進学した友人と一緒に発表しました。2つの場所を巡回することやその展覧会に向けて、しっかりプレスリリースをつくったことが、当時の僕にはとても勉強になりました」。

jpaint-interview-02-02石膏のレリーフ作品(1999年ごろ制作)

・・・石膏のレリーフは、日本画の作品と印象がだいぶ異なりますね。

芝「あれもやりたい、これもやりたい、というベクトルがまったく違うようなことをする、僕だけではなく人間には、そういう側面があると思うんです。昔と今では画風が違いますが、僕は『日常を絵にする』というコンセプトで描いています。石膏のレリーフ作品は、モチーフが抽象的ではなく具体的なものという部分では現在描いている絵と共通しています。でもコンセプトが弱く、むしろ『こういうものをつくりたい』という気持ちのほうが強くて、制作として長続きしなかったのでしょう」。

jpaint-interview-02-03「凛」50号   2006年制作 東京オペラシティーアートギャラリー所蔵

・・・コンセプトは明確でも、日本画は技法も画材も難しいですよね。

芝「自分が出したい空気感や雰囲気を、岩絵具で出すことは難しいですね。石膏のレリーフをつくったことで、作品の軽量化や型取りをきれいにつくる方法を学びました。それと、石膏のレリーフをつくっていた同時期に、大学が関係していた名古屋城の本丸御殿の模写事業プロジェクトにも8年間参加していました。障壁画を復元模写(残っているものを戻すのではなく、ゼロから復元すること)して仕事で、例えば金箔の上に岩絵具を載せるような大変難しいテクニックを学び、古典技法を知ることができました。それらの2つの経験により、表現する上での引き出しがかなり増えたと思います。
さらに時間があるとあちこちに出掛けて、いろいろな風景を水彩画でスケッチしました。たくさん描くとうまくなっていくし、絵を描くことが楽しくてモ チベーションも保てましたね。テクニック面でも、スケッチで培った水彩画法を日本画に応用しています。緑色は日本画の緑青(ろくしょう/顔料のひとつ)を使うよりも、黄色系に青色系の色を重ねて緑色を出すことが多いです。こうして自分なりの日本画を描くことができるようになりました」。

芝 康弘(しば・やすひろ)
1970年生まれ、1996年愛知県立芸術大学大学院美術研究科日本画専攻修了。2001年第86回院展初入選後、日本画家として活躍。

インタビュアー・藤田千彩(アートライター)
取材日 平成25年6月5日

インタビュー3回目は、9月12日(木)公開予定です。