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卒業生インタビュー(1回目)-陶磁

小枝 真人さん 2001年 陶磁専攻修了

「愛知だからこそ学べるものがある」

「陶芸」と言っても、産地や手法は実にさまざま。小枝真人さんは、器などに青色で描く「染付」をメインに行う日本で数少ない陶芸家です。今回は小枝さんに、愛知県立芸術大学を目指した理由、進学してからの学生生活について伺います。

ceramics-interview-01-01小枝 真人さん

・・・小枝さんが愛知県立芸術大学や陶磁専攻を目指そうとしたきっかけを教えてください。

小枝「私は神奈川県藤沢市の出身で、デザインに興味があったので、地元の予備校へ通いながら東京の美術系大学へ進学することを考えていました。テレビコマーシャルをつくるのもいいなあ、と思ってグラフィックデザイナーを目指そうと調べたら、デザインというのはひとりでするものではないことを知りました。当時の私はものをつくる際に他人とコミュニケーションを取ることが苦手で、難しいかもと別の道を探しました。立体、例えば車のデザインはどうだろうと、知り合いの車メーカーのデザイナーを訪ねたとき、車のミラーのデザインをしているという話に驚きました。車体(ボデー)のデザインにたどりつくまでが、遠く感じてしまったのです。そんなとき予備校の先生に『君がやりたいことは工芸だろう』と言われました。工芸といって もジャンルがいろいろありますが、粘土を触っているときに陶芸を目指そうと思いました。浪人生活をしていた僕に、サンフランシスコで働いていた兄が帰国した際に『愛知県立芸術大学という学校でも陶芸ができるようだ』と調べてくれました。私は気持ちを入れ替えて受験し、見事合格しました」。

ceramics-interview-01-01染付あけび紋組皿 1999年-卒業制作

・・・愛知県立芸術大学の授業はどうでしたか。

小枝「別の大学に進学した友人は「朝から並ばないと、ろくろがつかえない」と嘆いていましたが、愛知県立芸術大学は設備が自由に使うことができ、ろくろも他人と取り合うことはありません。しかも愛知県は名だたる陶器の名産地ばかりなので、熟練の職人が大学へ教えに来てくれます。大きいものをつくるときは常滑から、絵付などは瀬戸から、というように。そのおかげで、僕たちは実にさまざまなものをたくさんつくり、技術力を相当つけることができました。1年生は「湯呑み」、2年生は「鉢」といった課題も、1つのものをつくるのではなく、「同じものを50個そろえる」「大きなものを引く」というような内容でした」。

ceramics-interview-01-032012年の個展のようす

・・・かなり実践的ですね。

小枝「さらに3年生になると、上級生や卒業生と一緒にデパートで作品発表をします。その際、3年生は湯呑みを5客組で2セット以上発表するという課題がありました。当時3年生の僕はまだ不器用で、一客も売れず、本当に悔しかったことを今でも覚えています。それからまじめにつくって、4年生のときは全てを売ることができました。」

ceramics-interview-01-04小枝さんが手がける「染付」

・・・小枝さんがなさっている「染付」とは何ですか。

小枝「陶芸は、土で何かの形をつくること、だけではありません。私の陶芸活動は、器などの形あるものに絵を描くことを主にしています。なかでも「染付」は白地に青で描くことを指します。古くからある技法ですが、職人が教えに来る愛知県立芸術大学に進学したからこそ学ぶことができた技術で、私は習得できて良かったと思っています。しかもいま、染付をしている人は全国で私を含めて数えるほどしかいない状態。私は死ぬまで染付をやるつもりです。見た目は青一色の世界ですが、色を想像できるように見せたり、空気感を出していこうという気持ちで描いています」。

小枝 真人(さえだ・まこと)
1973年生まれ、2001年愛知県立芸術大学大学院陶磁専攻修了、2003年瀬戸染付研修所修了。現在、静岡県伊東市に工房を構え、作陶を行う。(公社)日本工芸会 正会員、愛知県立芸術大学非常勤講師。

インタビュアー・藤田千彩(アートライター)
取材日 平成26年6月27日

インタビュー2回目は、8月19日(火)公開予定です。